徳島大学の研究特集

外耳口から得られる音響データを用いた顎関節症・ブラキシズム診断機器の開発

研究期間 2020/4/1 - 2023/3/31
研究課題名 外耳口から得られる音響データを用いた顎関節症・ブラキシズム診断機器の開発
カテゴリー 全てのクラスター研究クラスター一覧登録クラスター医学臨床歯学工学電気電子
SDGs 3.保健
クラスター長氏名 鈴木 善貴(大学院医歯薬学研究部、顎機能咬合再建学分野、講師)
所属する研究者氏名 松香芳三(大学院医歯薬学研究部・教授・顎機能咬合再建学)
大島正充(大学院医歯薬学研究部・准教授・顎機能咬合再建学)
大倉一夫(大学院医歯薬学研究部・講師・顎機能咬合再建学)
吉原靖智(大学院医歯薬学研究部・大学院生・顎機能咬合再建学)
細木秀彦(大学院医歯薬学研究部・准教授・歯科放射線学)
河野文昭(大学院医歯薬学研究部・教授・総合歯科学)
安陪晋(大学院医歯薬学研究部・講師・総合歯科学)
榎本崇宏(大学院社会産業理工学研究部・講師・電気電子システム)
研究概要

 日本人において顎関節症は潜在的に46%の者が罹患していると報告されており,う蝕,歯周病に次ぎ第3の歯科疾患と言われている。顎関節症の主たる原因として、ブラキシズム(歯ぎしり,食いしばり,早い開閉口)による顎関節・咀嚼筋への機械的ストレスが挙げられる。日中は力仕事や心理的ストレスがかかったときなどに日常的に行なわれていることが多い。睡眠中に病的に行っている者は8%と報告されているが、健常者であっても約60%が1晩に数回行っていると言われている。この顎関節症には4つの型があり、病態により1型-咀嚼筋痛障害,2型-顎関節痛障害では自発痛や圧痛による診断が行われるが,3型-顎関節円板障害(関節円板の転位),4型-変形性顎関節症(軟骨・骨の形態変化)では、カクカク、あるいはジャリジャリといった特徴的な音が診断の一助となる。しかし、音が小さい場合や頻度が少ない場合があり、最終的にはパノラマ4分割法X線画像(骨の形態や位置の診査)やMRI画像(軟骨の形態・位置の診査)を用いて鑑別診断するのが現状である。また、ブラキシズムにおいても、食いしばりでは音が生じにくいものの、歯ぎしりや早い開閉口では特徴的な音が生じる。ただし、食いしばりの際も関節円板の偏位・変形など顎関節部に微細な音(振動)が生じている可能性がある。

 近年、音響の測定・解析技術が向上し、またArtificial intelligence (AI)技術も進歩しており、過去にはなし得なかったことも可能になっている。顎関節が耳前部にあることや歯ぎしり音の(下顎)骨伝導を利用して、耳栓にマイクロフォンを取り付けたような測定器によって、外耳口からそれらの微細な音を測定し、本学電気電子システム分野の機械学習を用いた高度な音響解析をすることで、顎関節症の鑑別診断、その原因となるブラキシズムの状態(いつ・どのぐらいやっているか)を把握することが可能となる。また、顎関節症・ブラキシズムの治療には認知行動療法が用いられるが、ブラキシズムの状態を把握し、それを音でフィードバックすることで、患者がブラキシズムをすぐに止めれるように抑制することができる。このシステムを開発することで、顎関節症・ブラキシズムの診断から治療までを実施するとともにその評価が可能となる。

 現在、顎関節雑音によって鑑別診断するような機器はなく、高度な技術や機器が必要となる。ブラキシズムでは筋電計を用いた物があるが、頬部皮膚に貼付するため、違和感があり、目立つため、日中などは使用時間が制限されることがある。本装置は耳栓タイプであるので、非常に小型・軽量で、装着感が良く、目立たず、簡便で誰でも使用できるため、多くの臨床家だけでなく、患者にも受け入れられるものと考える。

研究概要図


※画像をクリックするとPDFが開きます。

研究者の役割分担 鈴木善貴:研究計画立案、総括
松香芳三、大島正充:顎関節症・歯ぎしりの診断
大倉一夫、吉原靖智:音響・筋電測定
細木秀彦:パノラマX線・MRI画像診断
安陪晋、河野文昭:筋電解析
榎本崇宏:測定機器の開発、音響解析
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