徳島大学の研究特集

【終了】椎間板炎症部位を可視化する光学ファイバー内蔵型内視鏡の開発

研究期間 2020/4/1 - 2021/3/31
研究課題名 【終了】椎間板炎症部位を可視化する光学ファイバー内蔵型内視鏡の開発
カテゴリー 全てのクラスター研究クラスター一覧医学終了した研究クラスター臨床工学光応用
SDGs 3.保健
応募課題
クラスター長氏名 加治佐 平(ポストLEDフォトニクス研究所、医光融合部門、特任講師)
所属する研究者氏名 西良浩一(医歯薬学研究部 感覚運動系病態医学講座 運動機能外科学(整形外科)・教授・整形外科・スポーツ医学(腰痛)脊椎外科)
髙成広起 (ポストLEDフォトニクス研究所 医光融合研究部門・特任講師・病態医科学)
坂根亜由子 (医歯薬学研究部 医科学部門 生化学分野/ ポストLEDフォトニクス研究所併任, 准教授・生化学)
九十九伸一 (医歯薬学研究部 生体防御医学分野 / ポストLEDフォトニクス研究所併任, 助教・免疫学)
加治佐平 (ポストLEDフォトニクス研究所 医光融合研究部門・特任講師・生体医工学)
研究概要

国民の80 %が経験する腰痛においては,椎間板ヘルニア,腰椎分離症,腰部脊柱管狭窄症などが代表的な原因として挙げられる. 徳島大学病院整形外科の西良教授は,脊椎内視鏡による椎間板ヘルニア摘出術,および,腰椎分離症の内視鏡手術を確立してきた.また,8 mm切開による手術痕の最小化により,低侵襲な手術とともに,患者の早期退院・社会復帰を実現してきた.しかし腰痛には原因が特定できない症例も多く,その多くは椎間板や神経根周囲に生じた炎症が原因である考えられる.

脊椎内視鏡手術の際に炎症部位を可視化できれば,診断に寄与するのみならず,椎間板炎症部位の追加切除やレーザー焼灼,抗炎症剤の局所投与といった新たな治療戦略の創出に寄与しうる.そこで本研究では,原因の特定困難な腰痛を当面の研究対象とし,脊椎内視鏡手術時に椎間板・神経根の炎症部位を可視化・同定して診断・治療をサポートする光学技術を内視鏡に実装した医療機器を創出する.この目的を実現するため,1)光学基盤技術の創出と検証,2)同技術が光学ファイバーを通して実現可能であることの実証,3)一般的に脊椎内視鏡手術で用いられる8 mm内視鏡への同技術の内蔵,以上三段階の目標を設定する.

具体的に,動物の炎症組織(当面は光照射が容易なマウスの薬剤誘発皮膚炎症モデル,将来的に中型・大型動物の椎間板・軟骨の炎症モデル)を対象とし,以下3つの技術による高感度炎症箇所同定研究を行う.

  • 狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)による血管凝集部位検出
  • 蛍光時間消失式光ファイバーpH計を用いた炎症部位のpH低下検出
  • 光ファイバーラマン分光を用いた炎症部位同定

 炎症箇所同定技術を確定した後,同技術を有する光学ファイバーを8 mm内視鏡に組み込み医療機器としての実装を行う.その後,新鮮未固定のご遺体を用いて,椎間板部位の内視鏡観察を試みる.

 本研究は,脊椎内視鏡において世界的にさきがけた成果を得られた西良教授が,長年の内視鏡手術において,原因不明な腰痛治療の切実なニーズを解決するものである.また,光学的なアイデアは,2019年度バイオデザインにおいて,消化器内視鏡見学およびニーズ洗い出しから生まれたもので,ニーズ・ドリブンの研究開発である.将来的な展開として,脊椎疾患のみならず,軟骨・半月板など他の整形外科疾患の診断・治療,皮膚や消化管粘膜などの上皮組織における炎症部位や腫瘍の早期検出などへの応用展開も可能となる.各光学技術は,長時間の基礎研究を必要とするものではないことから,フィージビリティ・スタディとして,医療への実装に近いクラスタ研究であると期待される.

研究概要図


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研究者の役割分担 加治佐平:研究総括,NBI観察,光ファイバー式pHメーターの最適化
髙成広起:NBI観察,光ファイバーラマン分光計測,動物組織実験よる炎症部位同定に関する評価
坂根亜由子: NBI観察,動物組織実験よる炎症部位同定に関する評価
九十九伸一:NBI観察,動物組織実験による炎症部位同定に関する評価
西良浩一:研究総括アドバイザー,脊椎内視鏡による炎症部位同定
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