徳島大学の研究特集

低温空気プラズマ活性水・LED照射を組み合わせた 生鮮食品の抗酸化成分増量技術の開発

研究期間 2021/5/1 - 2024/3/31
研究課題名 低温空気プラズマ活性水・LED照射を組み合わせた 生鮮食品の抗酸化成分増量技術の開発
カテゴリー 研究クラスター一覧登録クラスター医学保健工学電気電子光応用バイオ農学栄養食品バイオ
SDGs 3.保健
応募課題
クラスター長氏名 向井 理恵(徳島大学大学院社会産業理工学研究部、生物資源産業学域、食料科学分野、准教授)
所属する研究者氏名 粟飯原睦美(大学院社会産業理工学研究部生物資源産業学域・助教・食品衛生)
川上烈生(大学院社会産業理工学研究部理工学域電気電子系物性デバイス分野・講師・プラズマエレクトロニクス)
研究概要

 昨今、健康寿命伸延と医療費抑制の観点から予防医薬が注目されている。特に、老化現象に深く関係する活性酸素種の抑制のために、生鮮食品などの天然物由来の抗酸化成分が利用される。これらの抗酸化成分は、外部刺激により増量することが報告されている。このような外部刺激を人工的に与えることで生鮮食品中の抗酸化成分の増量ができれば、健康増進に繋がる技術として応用できる。

 クラスター長である向井は食品機能学が専門であり、ポリフェノールの分析や機能性解析を行ってきた経験を活かし、本課題の計画を提案するものである。我々のクラスター班員である川上らは、雰囲気空気を利用した大気圧低温空気プラズマジェット装置を開発し、照射時間30秒で水中に存在する大腸菌をlog生存比−4以上の殺菌を行うことに成功しており、この殺菌効果は他を凌駕する成果であった。また、同じく班員である粟飯原は、LEDの照射による殺菌研究に携わってきた。このように、食品衛生の観点から、プラズマ活性水やLED照射利用の可能性を追求してきた。近年、これらに類似した刺激が食品内の成分組成を変化させる可能性がという報告がされたが、その情報は極めて限定的であるため、プラズマ活性水ならびにLEDが食品成分を変化させる条件を追求し産業利用にむけた応用研究を開始したいと着想した。本研究の目的は、大気圧低温空気プラズマ活性水ならびにLEDの利用により、生鮮食品に含まれるポリフェノール量が増加するか否か明らかにすることである。ポリフェノールは種々の生理活性を生体内で発揮することが報告され、抗老化や抗フレイルなど、高齢者が抱える問題を軽減できる物質である。したがって、食品中のポリフェノール量を増加させる技術の確立は、保健機能食品といった付加価値のある食品生産を目指す食品産業の新たな事業展開に繋がるインパクトの高い成果となる。また、スダチなどの抗酸化物質を含む徳島の農産物を高付加価値できる技術になることも間違いない。ポリフェノールが増加した食品を利用できることは、すべての人に健康と福祉をといったSDGs目標に沿った予防医学に貢献するものである。得られる成果は、外部刺激と食品との相互作用に関する新しい知見であり、プラズマ食品サイエンスや光食品サイエンスといった新しい融合分野の創成に繋がると期待する。医学的には予防医薬老化現象の抑制、産業的には予防医薬産業の発展、そして社会的にはやSDGsの「すべての人に健康と福祉を」に合致する。

研究概要図


※画像をクリックするとPDFが開きます。

研究者の役割分担 向井理恵:  研究統括、食品に含まれるポリフェノールの抽出と分析
川上烈生:  プラズマ活性水の作製
粟飯原睦美: プラズマ活性水へのタマネギ浸漬と青色LED照射
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