徳島大学の研究特集

消化器がんと脂肪細胞のクロストーク機構解明による早期診断と標的治療法の開発

研究期間 2022/10/20 - 2025/3/31
研究課題名 消化器がんと脂肪細胞のクロストーク機構解明による早期診断と標的治療法の開発
カテゴリー 全てのクラスター研究クラスター一覧登録クラスター医学臨床
SDGs 3.保健
応募課題

ミッション実現クラスターと融合し、社会実装や基礎研究の更なる推進につながる研究課題

がん

クラスター長氏名 佐藤 康史(大学院医歯薬学研究部、医学域、特任教授)
所属する研究者氏名 岡田 泰行 (大学院医歯薬学研究部研究部・医学域・特任助教)がん診療連携センター
宮本 弘志 (大学院医歯薬学研究部・医学域・准教授)消化器内科
河野 豊(大学院医歯薬学研究部、医学域、特任准教授)実践地域診療
野田 和克(大学院医歯薬学研究部、医学域、医員)消化器内科
西田 憲生(大学院医歯薬学研究部、医学域、准教授)遺伝情報学医学分野
高山 哲治 (大学院医歯薬学研究部・医学域・教授))消化器内科
研究概要

消化器がんの罹患率ならびに死亡者数は本邦のみならず世界的にみても増加傾向にあり、とくに膵がんや肝がん、胃がん、大腸がんは難治性で様々な治療法に強い抵抗性を示すことから、革新的な治療戦略の開発が望まれる。

消化器がんは、解剖学的に後腹膜や腸管脂肪組織に包まれ容易に脂肪組織へ浸潤し接触する。近年、脂肪組織は単なる「エネルギーの貯蔵庫」ではなく,様々な組織と直接・間接的な相互作用を有すること証明された。がん研究においても、生体内の脂質代謝やアディポサイトカインを介した脂肪組織と腫瘍増殖の関連は数多く報告され、脂肪細胞ががんの増殖・進展を制御することが明らかになった。最近、さまざまな消化器がんの周囲脂肪細胞が癌関連脂肪細胞(CAA)に脱分化しがんの悪性化を促進するという報告がなされ、我々も、膵がんの悪性化に膵周囲のCAAが大きな役割を果たしていることを明らかにしてきた。しかし、CAAがどのような機序でがんの悪性化に関わるかについては、いまだ十分に解明されていない。

そこで、本研究クラスターでは、消化器がんのCAAの上清中に分泌された細胞間・臓器間のコミュニケーションを担うexosomeに着目し、これに含まれ様々ながん関連遺伝子発現の制御を特異的に行うexosomal miRNAがどのように消化器がんを制御するかを明らかにする。さらに、exosomal miRNAは血中でも極めて安定であるためバイオマーカーとしての採血ベースで消化器がん早期診断や経時的評価を可能とするLiquid Biopsyとしての応用が可能となる。さらに、miRNAは癌進展に関わる多数の遺伝子を同時に制御することができることから、これをターゲットとした全く新たな創薬開発が期待出来る。

以上本研究クラスターでは、脂肪細胞由来exosome中の消化器がん悪性化に関わるmiRNAプロファイルを明らかにすることで、liquid biopsyによる消化器がん特異的な早期、経時的診断モダリテイーの開発やCAA側を標的とした全く新規の消化器がん治療法の開発に取り組む。これにより、消化器がんの診断、治療に大きな革新をもたらすことが期待でき、その社会的意義は極めて大きいと考えられる。

研究概要図


※画像をクリックするとPDFが開きます。

研究者の役割分担 佐藤 康史:研究の立案、結果解析・分析
岡田 泰行:消化器癌症例のexosomeの解析、in vitro解析
宮本 弘志:臨床検体の結果解析・分析
河野 豊:臨床検体の結果解析・分析
野田 和克:動物実験の実施と解析・分析
西田 憲生:バイオインフォマテックス解析
高山 哲治:スーパーバイザー
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