研究期間 | 2022/10/20 - 2025/3/31 |
研究課題名 | 宿主の炎症型マクロファージを標的とした抗炎症療法の開発 |
カテゴリー | 全てのクラスター、研究クラスター一覧、登録クラスター、医学、基礎、薬学、創薬、バイオ、生物、栄養、食品、ゲノム |
SDGs | 3.保健 9.イノベーション |
応募課題 |
免疫・慢性炎症 |
クラスター長氏名 | 千田 淳司(先端酵素学研究所、神経変性病態学分野、講師) |
所属する研究者氏名 | 坂口 末廣(先端酵素学研究所・神経変性病態学分野・教授) 原 英之(先端酵素学研究所・神経変性病態学分野・助教) Agriani Dini Pasiana(先端酵素学研究所・神経変性病態学分野・博士課程学生) 木戸 博(先端酵素学研究所・生体防御病態代謝研究分野・特任教授) 高橋 悦久(先端酵素学研究所・生体防御病態代謝研究分野・特任助教) 遠藤 逸朗(医歯薬学研究部・生体機能解析学・教授) 冨永 辰也(医歯薬学研究部・生体機能解析学・准教授) 原 倫世(医歯薬学研究部・血液内分泌代謝内科学・助教) 清水 真祐子(医歯薬学研究部・疾患病理学分野・講師) |
研究概要 | 近年、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の新興感染症が世界中で流行し、罹患患者の重症化が問題になっている。同時に、生活習慣の欧米化に伴って肥満人口も増加し、肥満がこれら新興感染症の重要な危険因子であることが数多くの研究で確認されている。 申請者はインフルエンザの重症化の原因はウイルスそのものによる肺炎ではなく、ウイルス感染で引き起こされる「サイトカイン・ストーム」が原因であることを報告してきた。肥満化した脂肪組織では炎症型M1マクロファージ(M1Mφ)が増加することが知られている。従って、肥満者ではウイルス感染を機に脂肪組織から多量に放出される炎症性サイトカインにより重症化している可能性が高い。最近、申請者はマウスへの抗プリオン蛋白質抗体(抗PrP抗体)の投与がサイトカイン・ストームを抑制し、(1)マウスのウイルス感染後の致死率が大幅に低下すること、(2)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の肝炎症状が軽減され、病態進行が遅延することを見出した。その機序として、抗PrP抗体がM1Mφへの分極を抑制し、抗炎症型のM2Mφへの分極を誘導することを見出し報告している。しかし、その機序の詳細については不明である。 そこで本研究クラスターでは(1)急性炎症(ウイルス感染症)や慢性炎症(NASH)での抗PrP抗体の詳細な作動機序を解明、(2)抗PrP抗体に代わるリード化合物の探索を実施し、(3)これら抗体や化合物の炎症性疾患への治療薬の有効性について評価する。上記の新興感染症やNASHはこれまで根本療法は確立されておらず、今後も患者数の増加が危惧される炎症性疾患である。MφのPrPを標的とした治療薬開発の試みはこれまでに例のない独創的かつ重要な研究である。従って、本研究クラスターで得られる成果は今後この方面の研究に大きく貢献することが期待される。 |
研究概要図 | |
研究者の役割分担 | 千田 淳司:研究統括,抗PrP抗体の調製,リード化合物の探索 坂口 末廣、原 英之、Agriani Dini Pasiana:腹腔Mφへの抗PrP抗体の添加試験 木戸 博、高橋 悦久:肥満モデルマウスへのインフルエンザAウイルス(IAV)感染後の抗体の投与効果・病態評価 遠藤 逸朗、冨永 辰也、原 倫世:動脈硬化モデルマウスでの抗体の投与効果の評価 清水 真祐子:NASHモデルと正常マウス(B6J)での抗体投与後の病理学的解析 |