徳島大学の研究特集

高分子材料の物性/構造/最適合成法を予測するデータ駆動型システムの開発

研究期間 2023/10/1 - 2026/3/31
研究課題名 高分子材料の物性/構造/最適合成法を予測するデータ駆動型システムの開発
カテゴリー 全てのクラスター研究クラスター一覧インキュベーションクラスター登録クラスター工学材料理学化学
SDGs 9.イノベーション
応募課題

その他

現状ではミッション実現クラスターとは直接リンクしないが、新たな重点研究領域につながる、萌芽・独創的な研究課題

クラスター長氏名 平野 朋広(大学院社会産業理工学研究部、理工学域、教授)
所属する研究者氏名 水口 仁志(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・准教授・分析化学)
吉田 健(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・講師・物理化学)
鳥井 浩平(デザイン型AI教育研究センター・特任助教・情報科学)
川谷 諒(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・助教・高分子化学)
研究概要

合成高分子は,家庭用品や電子機器,建材をはじめとするプラスチック製品,繊維,医療機器やバイオマテリアル,パーソナルケア商品など,いまや人類社会のあらゆる場面で必須の材料である.高分子材料には用途に応じて多種多様な特性が求められる.最適な特性を得るための合成手順においては,原料モノマーの種類と混合比,分子量(高分子鎖長),合成高分子の混合(ポリマーブレンド)など多数の要素の掛け合わせであることから,候補が無数にある.このように,物性への要求(目的変数/下流・出口)と合成手段(説明変数/上流・入口)の数がともに膨大であることが高分子合成分野の根源的な課題である.出口と入口の一対一の組み合わせを逐一検証するのが伝統的な研究手段であるが,合成を成功させ生成物の物性を個別に試験することに多大な労力と時間を要することが研究開発のボトルネックであった.この課題を解決するためにマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を代表とするデータサイエンス(DS)を利用した方法論を新たに開発するのが本研究の目的である.近年MIの適用では,周期的な規則構造を持ちDSに親和性のある無機材料分野を中心に急速に進展が見られる[1].一方で高分子は本質的にデータベース(教師データ)構築がより重層的となるため,ライブラリが不足しておりMI適用は広がりを欠く.
本研究クラスターでは,MIに適した高分子のライブラリ不足の壁を突破するため,合成法と物性を高分子材料の一次構造で接続するデータベース構築による新たな方法論を開発する(次頁の概念図).高分子材料の一次構造は,合成段階のモノマーの種類・混合比,分子量や立体規則性などによって決まり,一次構造が高分子の物性を決める最重要因子であることから,合成法と物性の橋渡しに一次構造を活用するのは合理的である.第一段階として,原子サイトレベルで詳細な一次構造解析が可能な溶液用の核磁気共鳴(NMR)分光装置を適用可能である,溶媒に可溶な高分子のキャラクタリゼーションから始める.難溶性であることが必要な機能である高分子にも適用の幅を拡げるため,固体混合物の状態でも測定ができる熱分解-ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py-GC/MS)によるキャラクタリゼーションを行う.実験データを補完するため,高分子の特徴である空間(原子/官能基/連鎖/溶媒和/分散・凝集)と時間(伸縮振動/官能基回転/主鎖)の階層構造間の分離/接続の解析に最適である溶液の分子論に立脚した計算化学の方法論も取り入れる.
本研究では,各種機器分析で得られた生データと高分子の一次構造や物性値とを紐づけしたデータセットを教師データに用いて,未知サンプルの分析データからその化学情報を精度良く推定する手法を開発する.さらに,合成条件等も紐づけするとともに,これまで取得困難であったデータを新たに加えたデータセットを構築し,ターゲットとする構造や物性を有する高分子を合成するための合成条件を推定するプロセス・インフォマティクス(PI)の開発にまで発展させる.
[1]    K.T. Butler, D.W. Davies, H. Cartwright, O. Isayev, A. Walsh, Machine learning for molecular and materials science, Nature. 559 (2018) 547–555. https://doi.org/10.1038/s41586-018-0337-2.

研究概要図


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研究者の役割分担 平野 朋広(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・教授):研究統括,高分子材料の合成,NMR分光法を用いた高分子材料の構造解析,示差走査熱量計(DSC)を用いた熱物性測定
水口 仁志(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・准教授):Py-GC/MS法を用いた高分子材料の構造解析
吉田 健(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・講師):分子動力学計算/密度汎関数法と溶液理論を融合した基礎物性データ構築,動的NMR分析(緩和測定,拡散測定)
鳥井 浩平(デザイン型AI教育研究センター・特任助教):機械学習,多変量解析
川谷 諒(大学院社会産業理工学研究部・理工学域・助教):モデルポリマーの合成,多変量解析
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