【終了】創薬及び機能性分子合成を目指す連続フロー型多成分ワンポット・カップリング反応の開発

   多置換ポリアリール化合物は、医薬品中間体をはじめ高分子や液晶といった機能性材料として用いられている化合物群であり、これまでに様々な類縁体が報告されている。これらを合成する手法として、パラジウム触媒を用いるカップリング反応を組み合わせる方法が最も一般的であり、その殆どを占めている。カップリング反応によるポリアリール化合物の合成は、ノーベル化学賞を鈴木・根岸らが受賞したことからも明らかな様に極めて有力な合成ツールであるが、複数のユニットを結合するためには多段階の操作を基本とし、触媒として主に高価なパラジウム触媒を必要とするなど課題となる点も多い。また、ポリアリール化合物は一般的に溶解性に乏しく取り扱いが困難である。
   本研究クラスターでは①.原料の逐次投入による効率的ワンポット多成分カップリングの開発、②.触媒金属の漏洩が無い環境にやさしい固定化触媒の開発およびフロー反応系への展開、③.多成分カップリング反応を用いた機能性分子ライブラリー開発の３項目に焦点を当て開発研究を行なう。特に②.では光や熱で脱離し、目的物に余計な官能基を残さない溶解性支援を目的とした新たな保護基の開発を行ない、ポリアリール合成に適したフロー反応の開発を行なう。本研究は一段階毎に反応停止・抽出・精製を行なっていたこれまでの合成法から脱却し、省資源・効率的・環境に配慮した次世代の合成手法を提案するものである。