【終了】多拠点統合的脳情報に基づくうつ病の治療反応予測部位の可視化

   近年，うつ病の病態解明に脳科学研究が応用されているが，うつ病の治療反応を予測するバイオマーカーは確立されていない。精神疾患に関わる複雑で多様なデータから実証性の高いバイオマーカーを見出すためには，大規模な多次元データを用いた統合的な解析が必要となる。脳画像研究の分野ではHuman Connectome Project（米国）や，Human Brain Project（欧州）といった大規模な脳情報データベースが構築されているが，その臨床応用は不十分である。そこで本研究では，うつ病の治療反応を予測可能な脳部位（バイオマーカー）を明らかにするために以下の解析を行う。
①データベースから収集した脳画像情報の統合的データ解析およびメタアナリシス
②うつ病患者と器質性精神障害患者データへの応用による妥当性の検証
   具体的には，公開されている脳画像データを収集・解析すると共に，過去の研究知見を網羅的に概観するメタアナリシスを行う。さらに，見出した所見を当施設および協力施設の患者データに適用し，器質性精神障害患者データを組み合わせることで，妥当性と疾患特異性を検証する。エビデンスレベルの高い網羅的な研究手法を用いてうつ病の病態を解明するところに新規性があり，脳神経外科学，精神医学，神経内科学，臨床心理学，計算科学といった，多領域の神経科学者から構成される徳島大学発の研究成果として，大きなインパクトが期待される。